レクチャーシリーズ1 小林敏也 ライフワーク「画本 宮沢賢治」& 幻燈会

開催日:2013年5月19日 14:00〜16:00

会場:三鷹ネットワーク大学

講師:小林敏也(イラストレーター)

絵本を深く知るレクチャーシリーズ、記念すべき第1回目を飾ったのは「画本 宮澤賢治シリーズ」をライフワークとする小林敏也さん。印刷の技術を駆使して、他にない挑戦的な絵本作りをしてきた小林さんの絵本づくりについてお話していただきました

 

小林さんが絵本作りをはじめた1980年頃は、まだ、今ほど印刷技術が高くなく、自分の描く絵と印刷された絵の再現性のギャップに落胆したそうです。

そこで生まれたのが、風合いのある紙に特色刷りという画本(えほん)シリーズのスタイルでした。銅版画のようにみえる画は、スクラッチという技法で描かれたもので、版を重ねて作るこの画本には、色つきの原画がありません。絵本こそが、作品、正真正銘の本物なのです。

スクラッチ…専用の特殊なボードを引っ掻いて描く技法


「作品を知るには、その作品そのものについて知ることよりも、作家について知る事の方がずっと重要だ。」とは、独自の審美眼で現代アートの一大コレクションを築いたハーブこと故ハーバート・ヴォーゲル氏の言葉。(映画「ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの」より)

まさに!小林さんの絵本は、人を楽しませたいという意欲、知恵と工夫を実現する技術、そしてなによりまじめで誠実な性格の賜物でした。
お話を伺って、改めて、小林さんの絵本をずっと大事にしてきた、自分が誇らしくなりました。

 

義後の幻燈は、読み手の鍵本恵子さんとの意気もぴったりで、絵本とはまた違う幻燈の魅力に引き込まれ、新たな楽しみの発見となりました。

ちなみに「幻燈といえどもひとつの立派な表現ジャンルなのだ。」と語る小林さんは、幻燈には、幻燈のためのしかけをしています。